「ハチドリのひとしずく食堂」のおばんざいの話

2022.5.29 J1第16節 湘南ベルマーレvsセレッソ大阪 試合レビュー

夏直前に行われたセレッソ大阪と湘南ベルマーレの一戦。

湘南は前節、川崎フロンターレに4-0で大勝しまさに勢いに乗っている状態。
一方のセレッソは3連勝をかけて湘南のホームでの試合に挑みました。

序盤はセレッソがペースを握り先制点を奪うも、吸水タイムでの修正を経ると一気に湘南ペースに。
後半はお互いにチャンスが生まれる中、暑さの下で消耗戦となりました。

どちらに勝利が転んでもおかしくなかった一戦は、後半ロスタイムに湘南のミスを逃さず追加点を得たセレッソのものに。
セレッソ大阪は見事リーグ3連勝を飾り、J1通算300勝を達成しました。

清武のポジショニング

セレッソは清武トップ下の4-2-3-1。
一方で湘南は5-3-2と表現されることもあるけど、インサイドハーフのタリク、池田が前に圧力をかけてくるので5-1-2-2と表現したほうが分かりやすいかもしれないです。

湘南はハードワークでしっかりプレッシャーをかけてくるサッカー。
その湘南に対してセレッソは清武が湘南アンカー米本の脇を取るような位置取りをしてプレッシャーを剥がしていきます。

ボール保持時、原川は最終ラインに落ちてビルドアップを助けたり、清武が守備の間でボールを受けながらパスを散らしてリズムを作っていきます。

すると18分、リズムに乗り切れない湘南に対して毎熊が前でボールを奪うと、毎熊→清武→毎熊に戻してから中央でマークを外したタガートにピタリなクロス。
タガートがこれを丁寧に枠に飛ばしてセレッソが先制しました。

飲水タイムで湘南に流れが傾く

前半27分。
暑さもあって飲水タイムが行われると、ここでチームを修正した湘南が一気にペースをつかみます。

セレッソは守備で湘南の選手を捕まえることができなくなり、石原や畑といったサイドの選手やタリク、池田が前線に飛び出す動きを見せるようになってきます。

34分には町野がトップで受けてターンシュートもこれはポストに当たって難を逃れる。
42分にはペナルティエリアすぐ外で毎熊がファールをしてしまい、絶好の位置で町野がフリーキックを蹴ってくるけれどもジンヒョンの好セーブでかき出す。

セレッソは押し込まれる形となり、バイタルエリア使われ続けて危険なシーンが増えましたがなんとか失点無しで前半終了。

湘南らしい前から圧力をかけてくるサッカーに押し込まれましたが、流れをつかんだ時間帯に1点をもぎ取ったセレッソと、流れをつかんだ時間帯に点を取り切れなかった湘南という構図になりました。

ハーフタイム中に修正

セレッソはハーフタイム中に守備を修正。
そのおかげで後半から誰が誰を捕まえるかがはっきりしたサッカーに変わっていました。

「いい守備から先制点を取れて、理想的な立ち上がりでした。そこから相手に少し流れを持っていかれた中で、ハーフタイムでもう一度、守備のところを確認しました。全体で我慢強くプレーすること、相手が前から攻守に矢印を向けてくることは予想できましたので、浦和戦と同様、耐える時間帯は耐える、前からハイプレスをかけるときは全員で連動して奪いにいく。そこを徹底しようと。」

https://www.cerezo.jp/matches/2022-05-29/

圧力をかけてくる湘南に対して圧力でやり返しては消耗戦になります。
この試合、暑さに対してどの程度走るかという点がキーポイントになったと思うんですけれども、引くタイミングとプレスをかけるタイミングを共有することで消耗度合いを調整できたと思います。

湘南の連続でのアタッカー投入

湘南の前から圧力をかけるスタイルはスタミナ面での消耗が激しいです。
59分山田、瀬川。
71分ウェリントン、茨田。
82分高橋。
アタッカーをどんどんと投入して圧力の手を弱めないようにしてきます。

一方でセレッソは湘南のクロスをヨニッチ、ジンヒョンが防ぎ好機を作らせない。

特にヨニッチの対空戦がすさまじく、左右からのクロスをことごとく跳ね返していました。

■マテイ ヨニッチ 選手
Q:終盤は守備に回る時間も長かった中で、相手のクロスや攻撃をはね返し続けていたが?
「後半は攻められる場面が多く、特に最後の20分あたりはヘディングが強いウェリントン選手も入ってきたので、常にクロス対応は気を付けていました。何回か危ないシーンもありましたが、最終的には、いいディフェンスができたと思います」

https://www.cerezo.jp/matches/2022-05-29/

82分投入の中原、加藤が試合を決定付ける

同点弾を狙う湘南に対して暑さによる体力低下も考えて引いて守る時間帯が多かったセレッソ。

勝負付けたのは残り10分を切って投入した中原と加藤でした。

82分、毎熊、清武の2枚と代えて右に中原、中央に加藤を投入。
守り切るのであれば毎熊を残した方が安定感が出たと思うんですけど、小菊監督は前への推進力で湘南の攻撃を裏返す選択をしました。

すると後半ロスタイムに入った93分、中原がルーズボールに対してスプリントして奪取。
タッチが長くなったボールは湘南GK谷に拾われてしまいますが、構わず中原はプレッシャーをかけます。

なんとしても早く前にボールを運びたい谷はサイドに逃げずにロングキックを選択しますが、これが加藤の足元にピタリ届く。
加藤は無人のゴールに蹴り込んで2-0とし、この試合の勝利を決定づけました。

谷のキックは「パスミス」と表現したくなるけれども、残り時間を考えるとサイドに逃げずにどうしても前に蹴りたくなる。
自由に蹴らせなかった中原の守備と、チャンスを狙える位置でボールが転がり込んでくるのを待った加藤の自力で引き寄せた運が生み出したゴールだと思いました。

これでセレッソは3連勝。
上位追撃に向けて貴重な勝ち点3を奪取しました。

その他

まずこの試合で一番記憶に残ったのがタガートのプレー。

セレッソに加入後、怪我が続いていたこともあってタガートのプレーを見る機会はそう多くなかったんですけど、マークの外し方も上手いし背負ってポストもできるし、万能型で戦えるストライカーなんだなと改めて思いました。

オーストラリア代表として一旦招集されますが、代表でも活躍して貰ってその勢いをセレッソに持ち帰って欲しいです。

それにしても今日の戦いのキーポイントは「暑さ」だったと思います。
ナイトゲームだったらまだマシだったと思うんですけど、現地は風も出ていないくらいの暑さを感じる状態だったとのこと。

さすがの奥埜も「そうですね。これだけしんどいのは久しぶりでした(苦笑)試合をやっていても、前半から結構しんどいなとは思っていました。その中で、チームで声を掛け合って勝てたのは良かったです」とコメントしています。

暑さがあると体力的な消耗もあるけれども、集中力の部分でも消耗が生まれます。

これからメンバーを入れ替えながら戦っていくことになると思いますが、誰が出てもチームとして形になるよう戦術理解的な部分やチームとしての一体感も大切になってきそうです。

リーグ戦は5位キープ。
代表ウィークに入りますので次は天皇杯、ルヴァン杯とカップ戦に移っていきます。

ルヴァン杯はご存じの通り湘南との2連戦。
同じチームと連戦をするのって本当に難しいし、それぞれの試合でどういう手を打つかという戦略的な組み立て方もほんとうに難しいです。

今回の湘南戦はまず1勝目。
ルヴァン杯の星を目指して湘南2連戦勝ち切って欲しいです。

そのためにはまず天皇杯でしっかり勝利して、好調な流れを繋いでいきましょう。