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2022.3.19 J1第5節 北海道コンサドーレ札幌vsセレッソ大阪 試合レビュー

Jリーグ第5節はコンサドーレ札幌をホームに迎えての試合。

札幌は主力数人を欠く中での試合でしたが強度の高いプレーを見せ、セレッソは2度リードを奪うものの勝ち切れずドローとなりました。
またホームでの勝利はお預け。

ホームゲームでの勝てそうで勝ち切れない試合にモヤモヤするところもありますが、怪我人が多い中でのやりくりが難しい部分もありますので、チームとしてまとまりを見せながらこの勝ち点1を活かして欲しいと思います。

前から人を捕まえに行く形での先制点

試合の序盤はセレッソが前からマンツーマン気味に捕まえに行きます。

小菊監督は「2得点とも、相手のビルドアップの特長を全員で共有して、我々は下がるのではなくプレスを仕掛けていこうという中で、いい守備からいい攻撃につなげていくことを準備していました。」とコメントをしていることから、札幌のビルドアップを封殺しながら前からハメていく形で準備していたんだと思います。

1点目の山田のゴールにつながった原川のパスカット。
キーパーのパスミスという形ではありますけれども、いわゆるミシャ式と呼ばれる4-1-5の形の1である駒井。
この駒井をしっかりと原川が見ていたことからボールを奪うことができ、そのまま得点に繋げることができました。

ゴールを決めた山田は仙台ではJ1ゴールを決めていましたけど、セレッソの選手としては初のJ1ゴール。

自分がワンクッション入れたところで、DFも食いついた。一瞬のスピードは自信があるので、思い切って前に出しました。」と山田はワンタッチめの話をしていますが、あのワンタッチめで勝負ありだったと思いました。
「一瞬のスピード」っていう自分の武器を把握しているからこそ生まれたゴールでした。

ただ幸先よく先制したと思った5分後、コーナーから失点。
ジンヒョンがちょうど触りにくい高さのキックが飛んできてファーで合わされてしまう。

ここから徐々に札幌ペースに持ち込まれていき、札幌のスタイルである前に5枚が張るような形での攻撃にセレッソは前からのプレスも出来ず、またボールを奪ってもボール保持がなかなかできないという後ろに引いた戦いを強いられました。

試合に対する準備の話

札幌からセレッソに加入した進藤は「やっぱり5枚、前に張ってくるのは、ちょっとイヤだなと改めて思いました。札幌時代、紅白戦もやっていたので分かってはいましたが…。札幌は大きくメンバーも変わっていないですし、今も札幌の試合を見ることは多いので、特長は分かっていたので、味方にしっかり伝えながらプレーしていました」と試合後に言っていますが、やってくることが分かっていたけれども押し込まれてしまったのが悔しいところ。

小菊監督も「ただ、チームとしてプラスα、広がりや幅も使いながら、サイドバックやボランチを基準にしっかりと保持することも必要でした。速い攻撃と、前進しながら相手のスペースを狙う部分の(使い分けの)課題は出たと思います」と言っていることから実際に試合をしてみて修正点に気付けた部分はありますが、試合をしてみないと気付けないところや、試合中に修正しきれないところはまだチームとして発展途上な状態なんだなと思います。

守備ラインを下げてからのカウンターの形をデザインしたり、清武不在でどうボールを握るのかなどなど課題は多いです。

後半にメンデスのゴールも追いつかれてのドロー

後半に入ると乾が中央に入るシーンや、メンデスが右サイドに流れるシーンが増えてきます。

札幌はセレッソの右サイド側から左シャドー荒野、左WB青木、左CB高峰を使って崩しに来ていたのでここをフォローしながら逆に攻撃への圧力を高めて制圧したかったんだと思います。
このセレッソ右サイドで攻撃の圧力を増やして、この札幌3人に守備負担をかけることでパワーバランスを変えたかったんじゃないでしょうか。

でも札幌の強度の高い守備を剥がせない。
前に運べず、逆にボールを持って行かれてしまう。
60分には札幌に右サイドで崩されて決定機を作られるシーンも。

前半の終盤と同じく札幌ペースで試合が進んでいきました。

そんな中でも何が起こるか分からないのがサッカー。
札幌岡村がビルドアップ時にキックミスし、それに詰めていたメンデスがクリアボールをプッシュする形で勝ち越し点。

運がいいと言えばそれまでだけど、常に急所を意識した位置取りをしているからこそのゴールで、メンデスがFWの意識を持っているからこそのゴールだと思いました。
あの位置に居なければ得点には繋がらないし、急所に居たからこそ運がメンデスの元に舞い降りました。

67分に乾、メンデスに代えて裏を狙える上門、北野を投入。
一方で札幌は69分に高さのあるドウグラスと中島を投入。

セレッソはカウンターで止めの3点目を狙い、札幌は押し込みを継続してそこに高さを追加する選択。

この狙いは札幌のほうに傾き、76分に金子のクロスから中島大嘉が触って同点弾を決められる。

進藤は試合後に「それと、相手に長身の選手が入ってきた中で、自分たちのラインがズルズル下がってしまった。失点のシーンも、クロスの局面で、ジンヒョン選手との距離が近過ぎた。ああいう早いボールが入ってくる可能性があるときは、できるだけゴールから遠ざけたところでプレーさせないといけなかった。そこは課題になりました」と言っていたけど、確かに進藤とジンヒョンの位置が近くてどちらもカバーが難しいクロスボール。

あそこに正確なクロスを入れた金子の技ありさもあるけれども、高身長の選手を2人投入した段階でクロスで来るのは分かっていたのでなんとかラインを上げて対応したかった。

ちなみに試合後に札幌サポの方に話を聞いて知ったんだけど、中島大嘉選手は19歳で大阪出身。
地元での試合で気合が入ってたと思うとのこと。

そしてこのままお互いに得点を決めることができずドローで終了。
ホームでの今季初勝利はまたお預けになりました。

その他

今年のセレッソは事前準備がハマれば勝利し、逆に準備がハマらなければスタートからバタつくという試合が多いです。

これは「準備不足」というより「準備していた形と相手の形が違った」とか「準備はしていたけど上手く実行できなかった」という状態なのかなと思ってます。

札幌戦のコンセプトで言うならば

  • 札幌のビルドアップを研究しておき、前から捕まえてショートカウンターで仕留める
  • 札幌の前5枚張りに対しては耐えてから裏への飛び出しで仕留める

こういった狙いがあるのは分かるけれども、後者の「裏への飛び出しで仕留める」形は試合序盤は何度かシーンを作っていたけど徐々に対応されてしまってます。
この時に「別の形で裏を狙う」のか「裏への飛び出し以外で形を作るのか」などなどが思いつきますけど、その修正案をどう作り上げるか。
上手く行かない試合っていうのは相手に修正点を突きつけられているようなものなので、1試合1試合復習しながら形を探って欲しいと思います。
やられるっていうのは自分の駄目なところを目の前で教えてもらっているようなものなので。

第5節が終わって「1勝3分1敗」をどう捉えているかも気になるところ。
良い結果ではないとみんなは思っているだろうけど「このままやれば勝ちにつながる」という気持ちなのか「ドローが続いているから変化が必要」という気持ちなのか。

どちらの気持ちでもいいけれども、チーム全体が同じ考えを持つことが大事かなとぼくは思っています。
継続か、変化か。
同じ方向を見ること自体が大事。
向いている方向がバラバラなのが一番良くない。

リーグ戦まで少し時間が空いて次はルヴァン杯なのでまたメンバーが代わると思いますが、選手全員が「今年のセレッソはこういうスタイルで戦う」っていう共通理解を持ちながら戦って欲しいなと思います。